🗞トレンド特集|アイドルへの誹謗中傷はどこまで許されていると思ってる?【現場・SNS 2025】
「あいつは歌が下手」「やる気ないよね」「顔が無理」「もう辞めろ」。
ライブ中のヤジ、特典会での一言、SNSでの引用ポストや裏垢の悪口。
推しのタイムラインやエゴサで、こういう言葉を見なかった日はありますか?
これはもう「一部のアンチ」だけの話じゃない。2025年の今、“誹謗中傷”は明確に社会問題として扱われ、場合によっては犯罪になり得る――ここから先は、その前提に立って話を進めます。
1.2025年、“誹謗中傷”はもう「ただの悪口」じゃない
2022年、日本ではいわゆる侮辱罪の厳罰化が施行され、従来の「拘留・科料」に加え、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金等が科されうるようになりました。ネット上の中傷や晒し文化の深刻化を背景に、オンラインの言動も処罰対象になり得ることがより明確になったわけです。
警察・行政もすでに具体的対応を公表しています。警察(サイバー関係)の相談窓口や、違法・有害情報の通報先、証拠保全のポイントは公式に案内されています。困ったら一人で抱え込まず、公式の相談動線を使ってください。
※本記事は一般情報の提供です。個別の法的判断は状況で変わります。緊急時・切迫時は110番や各都道府県警、法律専門家へ。
2.現場とSNSで、今起きていること
(1)ライブ中のヤジ・罵声
- MC中に「もっとちゃんと喋れよ」
- 歌唱中に「下手」「音外してる」と嘲笑→ パフォーマンスの最中に飛んでくる否定。
現場にいると、「身内ノリ」や「イジり」の延長に見えることもあります。
けれど、ステージに立っている側からすれば、パフォーマンス中に飛んでくる否定の言葉です。
集中力を削られ、自己否定を加速させるには十分すぎます。
(2)特典会でのダメ出し・説教
- 「最近やる気ないよね? もっと頑張った方がいいよ」
- 「フォロワー伸びてないんだから、もっとSNSちゃんとやりなよ」→ その場の“評価”や“詰め”は、本人の心身を削ります。
言っている本人は「自分はよく見ている」「厳しくも愛のあるアドバイス」のつもりかもしれません。
でも、それは仕事の評価であり、人事面談であり、時には人格否定です。
ファンはマネージャーでも上司でもコーチでもないのに、なぜそこまで踏み込んでしまうのか。
(3)SNSでの晒し・悪口・「評価ごっこ」
- 「この子はもうオワコン」「やる気ないなら辞めれば」
- スクショ付きで「今日の対応ランキング」「レス格差」など人を点数化→ それは公開空間に残る“ラベル貼り”。名誉や信用を傷つけるリスクが常に伴います。
「本音を言って何が悪い」「客なんだから評価する権利がある」という言葉もよく見かけます。
でも、その「評価」は本人の目にも、他のファンの目にも、永遠に残る形で流通します。
それはただの感想ではなく、社会的な評価を下げる行為=名誉を傷つける行為になり得ます。
3.ファンの「意見」と誹謗中傷の境目
「全部褒めろってこと?」「悪いところは言っちゃダメなの?」という声も、きっと出てきます。
批評や感想はあっていい。合う・合わないも当然ある。
でも、線引きはここ。
- 人格や容姿を攻撃していないか(「ブス」「デブ」等の蔑称)
- 事実でない憶測を断定していないか(「枕してる」等)
- 公開の場での晒し・吊し上げになっていないか
- **「改善してほしい」ではなく「消えてほしい」**のニュアンスになっていないか
「このパフォーマンスは自分には刺さらなかった」
と
「この子は価値がない」
は、まったく別の話。
4.オタてんとして、あえて聞きたいこと
ここから少しだけ、AGSをやっている一人のオタクとしての本音も書かせてください。
誹謗中傷のニュース、運営の悲鳴を見かけるたびに、心の中で同じ問いが浮かびます。
「なんでオタクやってんの? 応援したいんじゃないの? 推しを困らせるためなの?」
推し活って、本来はもっと楽で、もっと優しかったはず。
好きな子の頑張りに元気をもらって、少しでも背中を押したくて現場に通う。
いつの間にか**“評価する側・ジャッジする側”**になっていないか。
推しは、私たちの人生全部を背負うためにステージに立っていない。
推しを「自分のストレスのはけ口」にするでもなく、「自分の価値観を押し付ける相手」にするでもなく、
**「今日も生きていてくれてありがとう」**と思える関係でいられるか――ここを、いま一度、問い直したい。
5.これは“炎上案件”ではなく、更新すべき文化の話
侮辱罪は厳罰化され、ネット中傷は次々と法廷で争われ、警察も公式の相談・通報動線を示している。
つまりこれは、もう“個別の炎上”ではなく、カルチャーのアップデートの話です。
「叩いて育てる」「言われるうちが花」――その古い常識は、2025年のアイドルシーンに合わない。
推しもオタクも長く健康でいられる関係を、私たちの側から作っていこう。
推しもオタクも人間で、両方が長く健康でいられる関係をどう作るか――
そこに、いま視点を移すべきタイミングです。
このトレンド特集ではまず、「今、何が起きているのか」「どこに線を引くべきか」を問題提起として書きました。
6.結び――“好き”を守る言葉を選ぼう
- 誰かを上げるために、誰かを下げない
- 批評は作品に、攻撃はしない
- 推しと、推しの周りの人の明日を軽くする言葉を選ぶ
推しを守りたい人、現場をこれ以上壊したくない人、
そして「もしかしたら自分も知らないうちに傷つける側だったかもしれない」と少しでも感じた人と、
ここから一緒に文化を更新していけたら嬉しいです。
参考リンク(一次情報・公的資料中心)
- 侮辱罪の裁判例(2025年事例集/法務省)
https://www.moj.go.jp/content/001446563.pdf - 警察庁:サイバー犯罪相談等の案内(各都道府県の相談窓口リンク)
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/soudan.html
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